大麻取締法違反:W大生も 自宅で栽培の疑い、既に有罪判決
毎日新聞 2008年11月15日
 自宅で大麻を栽培していたとして、W大学(東京都S区)の男子学生(21)が今年8月、大麻取締法違反(栽培)容疑で関東信越厚生局麻薬取締部に逮捕されていたことが分かった。大麻を巡っては、K大やD大など伝統校の学生に加え、芸能人や力士、プロテニス選手まで若年層を中心に摘発が広がり、社会問題化している。今回のW大生逮捕で、若者の大麻汚染が深刻化している実態が改めて浮き彫りになった。

 関係者などによると、逮捕されたのは、T区在住の商学部の3年生。学生は8月18日、自宅マンションで大麻草4株を栽培した疑い。学生は現行犯逮捕後に起訴され、すでに執行猶予付きの有罪判決を受けている。「大学の講義でオランダのことを学び、大麻に興味を持った」と話しているという。W大広報課は「事実であれば大変遺憾なこと。現在、情報の確認を急いでいる」とコメントした。

 大学生が、大麻の所持や栽培などで逮捕される事件が相次いでいる。K大とH大では、いずれも男子学生2人と5人がそれぞれキャンパス内で大麻を売買したり吸引していたことが発覚。D大でも、女子学生(22)が知人の元A大生や交際相手で密売人のブラジル人の男から大麻を入手、250回以上使用したことが公判で明らかになった。
 ほかにも、B大の男子学生1人が所持で逮捕されているほか、C大ラグビー部の部員2人(当時)が、インターネットの雑貨店のサイトで購入した種から大麻草を栽培したとして有罪判決を受け、他の部員12人=不起訴=も吸引を認めた。

 ◇ノンフィクション作家の吉岡忍さんの話

 米国では若者がベトナム戦争にかり出された60~70年代、旧ソ連では社会主義が行き詰まっていた80年代に大麻が若者にまん延した。若者が将来に展望を持てず、社会に背を向けていた。今の日本も、格差が広がるなどし、優秀とされる学生でも、自分の努力でもどうにもならない行き詰まりを敏感に感じとっているのではないか。単なる若者のモラルの問題と考えてはならない。

 ◇「夜回り先生」の愛称で知られる元定時制高校教師・水谷修さんの話

 中高生に薬物汚染がある以上、大学生にも広がっているのが当然。以前に逮捕者を出したKと同様にWには付属校がある。入試を気にせず、ファッション感覚で薬物に手を出せるのではないか。大学側は個人の問題と片付けがちだが、小中高と同様、預かった子供を育てる義務がある。逮捕された学生を「はい、さよなら」と退学にするのでは解決にならない。