爆発物製造情報:「削除を」 警察庁、ネット対策に重点
毎日新聞 2009年10月16日
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警察庁は、インターネット上にあふれる爆発物の製造情報について、サイト管理者らに対し、積極的に削除を求めていく方針を決めた。取引実績のない客がネットで原材料物質を大量購入しようとした場合、販売事業者に購入目的の確認を求めることも徹底させる。来年秋、横浜市などで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)関連会合に向け、ネット対策に重点を置いてテロの未然防止を図る考えだ。 「爆発物・銃器・武器」「軍用火薬」「高性能爆弾」。ネット上には、こうしたタイトルのサイトが無数にあり、殺傷性の高い爆弾や爆薬の作り方が解説されている。爆発物の専門家は「怖さを知らないうちに、簡単に作り方を学べてしまう」と指摘する。 昨年9月、サイトで爆発物の製造方法を学び原材料を入手した元自衛官が、皇居に向けて消火器爆弾を発射したとして逮捕された。警察庁はこの事件を受け、爆発物の原材料になる薬品類の販売事業者に対する監視強化を指示した。 警視庁公安部は今月、購入者の氏名・住所などを記載せず、原料となる毒劇物を販売したとして、薬品販売会社「Hケミカル」(東京都C区)を摘発。公安部によると、Hケミカルは「購入時に他店では使用目的を確認されるが、ここはしない」「個人販売してくれる店は少ないが、ここは売ってくれるし早い」などと一部のマニアの間で評判だったといい、今年1~2月には、ネットで知ったという少年に塩素酸ナトリウムなど21品目もの薬品を店頭で販売した。 同じ時期には爆弾による同級生殺害を計画したとして、S警に殺人予備容疑で逮捕されたS市の男子高校生(当時16歳)にも、ネットで原材料を売っていた。 警視庁が書類送検した同社の販売担当者は「薬品のコンビニ的存在を目指していた」と供述。不正販売の実績は約500件に上るという。 警察庁はテロの未然防止には、販売事業者のモラル向上が不可欠として、ネット購入者に対する使用目的の確認を強化するとともに、管理者責任を厳しく問う方針だ。 |