林@熊法です。 Ichiro HAYASHI 爆発的にメールが飛び交っているのに煽られて、以下、 とりあえずの全体原稿を送ります。このまま完成原稿とするか、 さらに手を加えるかは未定です。 ////// 注) <>でくくった内容がポップアップ。 はじめに 熊本大学教育運営委員会情報処理教育共通テキスト作成部会編『ネットワーク時代の情報リテラシー』 (ムイスリ出版、1997)初版の発行以来、著作権法は数次に渡って改正されてきました。ここでは、上記 書の第1章の説明を前提としつつそれを補完する形で、著作権についての追加説明をします。学習者の皆 さんは、まず同書を読んだ上で本章を学習して下さい。また、本章では著作権について簡単な例題をゲー ム形式で提供しますので、それが著作権法に違反するか否か各自で考えてみて下さい。 1.著作権とは何か (図1) 著作者の権利 ┬─著作者 人格権:公表権(18条)<条文UP> │ 氏名表示権(19条)<条文UP> │ 同一性保持権(20条)<説明文UP> │ 修正・増減権(82条1項) │ ├─著 作 権 :複製権(21条)<UP>、 │ 出版権(79、80条)<説明UP>、撤回権(84条3項)<UP > │ 上演権・演奏権・上映権(22条)<説明UP> │ 公衆送信権・公衆送信可能化権(23条)<説明UP> │ 口述権(24条) │ 展示権(25条) │ 頒布権(26条)<説明UP> │ 譲渡権(26条の2)<条文UP> │ 貸与権(26条の3)<条文UP> │ 翻訳権・翻案権等(27条)<条文UP> │ 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28条)<説明UP> │ └─請 求 権 :教科書等掲載補償金請求権、試験問題複製補償金請求権、等 著作隣接権者−−実演家(俳優、舞踏家、演奏家、歌手、指揮者、演出家など)、レコード制作者、 放送事業者、有線放送事業者。 <以下、それぞれのUPの内容> <18条1項:著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作 物を含む。次項において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物と する二次的著作物についても、同様とする。 以下省略。> <19条:著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その 実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。二次的 著作物についても同様。以下省略。> <20条 同一性保持権:無断改変禁止権。著作物は著作者の人格を表現したものであり、その著作物の 同一性を侵害することは著作者の人格を侵害することになり許されない。ただし、幼児向けに漢字をひら かなに改めるなどの教育目的での改変、デバグやバージョンアップのためのプログラムの改変、など著作 者の人格的利益を害さないやむを得ない改変は認められる(20条2項)。> <21条 複製権:複製とは、印刷、写真、複写(コピー)、録音、録画その他の方法による著作物の有 形的再製をいい、著作物の上演、演奏、放送などの「無形的複製」は含まない(2条1項15号)。後者 の録音、録画は複製に該当する。建築に関する図面に従って建築物を完成することは複製に該当する。> <79、80条 出版権:複製権者は出版権を設定することができる。出版は文書または図面として原作 のまま行われ、原作の出版権者といえどもその翻訳物を出版することはできない。> <84条3項 撤回権:出版権を消滅させる権利。> <22条:上演権および演奏権には、それらの録音・録画の再生を含む。上映とは、映画のみならず著作 物一般を映写幕・ディスプレイ画面その他の物に映写すること。> <23条 公衆送信権:公衆によって直接受信されることを目的として無線通信または有線電気通信の送 信を行うこと。インターネット等を用いたインタラクティブな送信形態に対応して、公衆の求めに応じ自 動的に行う自動公衆送信については、著作物のサーバへのアップロードや、著作物がアップロードされた サーバをネットワークに接続する段階も「送信可能化」(2条1項9号の5)として保護対象となる。送 信可能化された著作物は公表されたものとみなされる(4条2項)。プログラムの著作物を構内LANで 送信することは公衆送信に該当する(2条1項7号の2括弧書き)。> <26条:映画の著作物をその複製物により頒布(公衆に譲渡・貸与)する権利。レンタルビデオも含 む。映画についてのみの権利であることに注意。> <26条の2 譲渡権:映画以外の著作物をその原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利。映 画以外についての権利であることに注意。> <26条の3 貸与権:映画以外の著作物をその複製物の貸与により公衆に提供する権利。対象は貸しレ コードや貸しソフトなどで、貸しビデオは頒布権の対象。図書館や貸本屋は例外。楽譜の貸与は要許諾 (附則4条の2)。公衆の使用に供することを目的として設置された自動複製機器を用いた複製は、私的 利用とはいえず罰則があるが、文献複写機については適用除外。映画以外についての権利であることに注 意。> <27条 翻訳権、翻案権等:著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、 映画化し、その他翻案する権利を専有する。原著作者に無断で翻訳を行うことはできない。 > <28条:二次的著作物には、原著作物の著作者と二次的著作物著作者の両方が権利を有するので、その 利用には基本的に両方の許諾を必要とする。二次的著作物とは既存の著作物を原作として創作されたも の。二次的著作物の許諾が必要な二次的著作物か不必要な新著作物かの判定は、裁判所が社会通念に従っ て行うことになる。> (1)著作(権)者と著作権 著作者とは、著作物を創作する者をいい(2条1項2号)、校正作業者などの補助者、助言者、注文者 はこれにあたりません。著作(権)者は、他人による自己の著作物の利用について許諾(著作物利用のラ イセンス)を与える権利があります(63条)。これが狭義の著作権の実質的内容です。著作権は、特許 や商標などの工業所有権法とは異なり、登録などの手続をとることを必要とせず、著作物の創作と同時に 発生し(17条2項)、原則として著作者の死後50年間保護されます。逆にいうと、この保護期間を過 ぎた著作物(いわゆる古典)は、所有権と著作権は異なるため現在の所有者の許諾なしに、自由に利用す ることができます。ただし、著作者人格権は一身専属であり、著作者の死亡により消滅しますが(59 条)、著作者の死後においてもその保護が定められています(60条)。また、著作権者は、他人に著作 権の一部または全部を譲渡することもできます(61条)。実演家などの著作物の流布に貢献する著作隣 接権者も、録音・録画権(91条1項)、放送・有線放送権(92条1項)、インターネットなどで実演 を送信可能にする権利に関わる送信可能化権(92条の2第1項)、複製権、などの著作隣接権を持って います。利用許諾を得た者は、その契約で定めた利用方法と条件の範囲内で、著作物を利用することがで きます。 民法の特別法であるところの著作権法は、著作物、実演、レコード、放送および有線放送に関し、「こ れらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与す ることを目的」(第1条)とし、図(1)のような権利を限定列挙するとともに、「文化的遺産の公正な 利用」のため、著作権の制限規定(第30条〜50条)と保護期間(第51条〜58条)を規定していま す。 著作者の権利は、著作者人格権と著作権からなります(図(1)参照。)。著作者人格権は、公表権、 氏名表示権、同一性保持権を内容とします。これらは著作者の人格的利益を保護しており、著作者に一身 専属であり譲渡はできません。著作者の名誉・声望を害する方法による著作物の利用行為は著作者人格権 侵害とみなされます(113条5項)。これに対して、財産権であるところの著作権は経済的利益を保護 するものであり、譲渡することが可能です。著作権は図(1)にあげたいくつもの支分権の束なので、著 作権者はその一部または全部を譲渡して、経済的利益を得ることになります。この著作者の経済的利益を 「不当に」損なう行為が著作権侵害と理解できます。 著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権の侵害には、3年以下の懲役または300万円以下の罰 金が科せられます(119条)。日本国民の外国犯も処罰されます(刑法施行法27条1号、刑法3 条)。 なお、図(1)のそれぞれの支分権をクリックすると簡単な説明が表示されます。 (2)著作物 著作権の保護対象としての「著作物」(work)とは、「思想または感情を<創作的>に<表現>したも のであって、<文芸、学術、美術または音楽の範囲>に属するもの」(著作権法2条1項1号)をいいま す。この創作者が著作者です。事実の伝達にすぎない雑報や時事の報道は著作物に該当しないので(10 条2項)、単なる事実の羅列にすぎない列車時刻表やレストランのメニュー等は著作物ではありません。 著作権法は「表現」を保護しますので、その背後にあるアイディア自体は、<アイディアの自由>により 著作権法の保護対象ではありません。著作物の完成度は保護に関係ありませんので、草稿やスケッチなど も保護されます。漫画等のキャラクターは、少なくとも原著作物の保護を介して保護され、その本質的な 部分すなわち個性が表現された複製は原著作物の複製となります。 (以下は、<>でくくった文字をクリックするとUPする内容) <「創作的」:著者の年齢や社会的評価に関わらず、著作者の「個性」が作品に表現されていること。 > <「表現」:必ずしも原稿用紙、書籍などの有体物に固定することを意味しませんので、原稿無しの講演 や楽器の即興演奏など無形の著作物もあります。> <「文芸、学術、美術または音楽の範囲」:広く「知的、文化的精神活動の所産全般」。> <アイディアの自由:たとえば、コンピュータ・プログラムのリバースエンジニアリングはアイディアの 抽出なので著作物の公正な利用であると考えられますが、不正競争防止法など他の法律の保護がかかって くる場合があります。> 著作権法上、著作物ではあるものの、保護対象から外されているものがあります。憲法その他の法令 (外国法、草案も含む。)、国又は地方公共団体の機関が発する告示、訓令、通達その他これらに類する もの、裁判所の判決、決定、命令及び審判(外国判決を含む。)並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準 ずる手続により行なわれるもの(行政不服審査など。)、国又は地方公共団体の機関が作成する上記のも のの翻訳物および編集物、です(13条)。ただし、それらの編集物などで民間の出版社が出版している ものは著作権の対象となります。なお、政府刊行の白書などの報告書で、高度に学術的意義を有し必ずし も一般に周知徹底させることを意図していないものは著作物として保護されますが、転載禁止の表示のな い限り、説明の材料としてこれらを新聞・雑誌等に自由に転載できます(32条2項)。 (2)著作物の例 著作権法は、著作物の例として以下のものをあげています(10条、12条)。 ・小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物 ・音楽の著作物 ・舞踊又は無言劇の著作物 ・絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物 ・建築の著作物 ・地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物 ・映画の著作物 ・写真の著作物 ・プログラムの著作物 ・編集著作物<説明UP> ・データベースの著作物 <編集著作物:辞書、詩集のような素材の選択・配列に創作性のある著作物。> プログラムの著作物(10条1項9号)について、その保護の対象となるのは、ソース・プログラム、 コンピュータに実行可能な機械語命令によるオブジェクト・プログラム、OS、アプリケーション・プロ グラムです。プログラム言語やその用法に関する規約や指令の組み合わせ方法である解法は著作権法が保 護する「表現」ではないので対象ではありません(10条3項)。すでに著作者人格権のところで見たよ うに、デバグやバージョンアップのための必要な改変については、同一性保持権の例外で著作権の侵害と はなりません(20条2項3号)。プログラムの複製物の所有者によるバックアップ用コピーなど、自己 の利用のために必要な複製や翻案(デバグなど)は認められます(47条の2)が、それを公衆に頒布や 提示した場合は無許諾の複製・翻案を行ったものとみなされます(49条1項3号、同条2項2号)。市 販プログラムを1台分だけ購入し複数のパソコンにインストールすることは、複製権侵害となります。海 賊版プログラムであることを知りながら使用する行為も著作権侵害行為です(113条2項)。なお、コ ンピュータ・グラフィックも、プログラムとは別個に著作権の対象となります。ルックアンドフィール (look and feel, 見た目と使い勝手)も著作物ですが、グラフィカル・ユーザーインターフェースについ てマッキントッシュとMSウィンドウズの類似性は著作権の侵害にあたらないとの裁判が1994年9月 に米国でありました。 データベースの著作物(2条10の3定義、12条の2)と、そのキーワードを体系的に整理したシ ソーラスはそれぞれ別個の著作物として保護されます。データベースに蓄積されている個々の情報が著作 物である場合、データベースの作成者と個々の情報の著作者の双方に著作権があります。CD−ROMの 電子辞書・六法などもデータベースです。学内LANでCD−ROMを共同利用する場合は、ネットワー ク利用として契約するか、著作権者の許諾を得る必要があります。データベースの磁気ディスクへのコ ピーやプリントアウト、データのダウンロードは複製権の対象となります。現在では、「創作性」のない データベースについても保護される傾向にあります。 インターネットから他人が作成した著作物をコンピュータのメモリへ一時的に蓄積をしても著作権法の 複製には当たらないとされます。しかし、インターネットは世界的なネットワークにつながっているもの であるため、そうして得た他人の著作物の複製をアップロードすることは著作物の自由利用が認められる 私的複製には該当しません。また、自分のホームページに他人のホームページのリンクを張ること自体は 複製とはいえませんので直ちに著作権を侵害する行為ということにはなりませんが、他人のホームページ の一部だけ(たとえば画像)へのリンクや他人のホームページの一部を自分のホームページのフレームの 中にリンク・表示するフレイミングは著作権を侵害する可能性があります。ちなみに、社団法人著作権情 報センターは、インターネット上のハイパーリンクによるそのホームページへのリンクは基本的に自由で あるとしていますが、内容が公序良俗に反する場合はリンクを断ることがあるとしています。社団法人著 作権情報センターのホームページは非常に有益なので、閲覧することを勧めます。検索の練習がてら、自 分でこのホームページを探して下さい。 2.著作権の制限=著作物の自由利用が認められる場合 著作物は以下のような場合に、著作権を制限され、著作者の許諾なく自由に利用することができます。 私的使用のための複製(30条) 図書館等における複製(31条) 引用(32条) 教科書等への掲載(33条)・学校教育番組の放送等(34条)<UP> <高校以下の教科書などについて、著作者への通知と補償金の支払い、出所の明示が必要。> 教育機関における複製(35条) 試験問題としての複製(36条)<UP> <入学試験・入社試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限 度において許される。 翻訳による利用も許される(43条)。業者の模擬試験のような営利目的の場合に は補償金の支払いが必要(36条2項)。> 点字による複製等(37条) 営利を目的としない上演(38条)<UP> <営利を目的とせず、聴衆または観衆から著作物の対価としての料金を徴収せず、実演家に報 酬を支払わないで行う、大学祭での出し物など。料金を徴収するチャリティーショーは不可。> 時事問題に関する論説の転載等(39条)<UP> <禁止の表示がないかぎり。> 政治上の演説等の利用(40条) 時事の事件の報道のための利用(41条)<UP> <引用の一類型。> 裁判手続等における複製(42条)<UP> <裁判手続、及び立法又は行政の目的のために、その必要と認められる限度において。> 公開の美術の著作物等の利用(46条)<UP> <屋外設置の美術や建築は、一定の場合を除き、自由に利用できる。> プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等(47条の2)<UP> <プログラムのバックアップコピー、デバグ、バージョンアップ。> 私的使用のための複製(30条) 個人的使用または家庭内での使用の目的での、家族内・親戚間や親しい友人間(たとえば、大学のサー クル内)の貸し借り、最小限度の部数の複製(コピー、録音、録画)は自由にできます(ただし、多くて も10人以内。)。しかし、これをその他の他人に貸したり売却したり、公表・頒布することは認められ ません(49条1項1号)。複製できるのは複製物を私的使用する使用者自身だけであり(補助者を含 む。)、コピー業者への依頼による複製・ダビングは私的使用のための複製とはいえません。企業その他 の団体が業務のために行う複製(会議等に用いるための内部資料用のコピーなど)は私的使用とは認めら れません。業者が店頭に設置している自動複製機器を用いての複製は私的使用とはされませんが、個人用 や特定少数のものの使用に供されている自動複製機器を用いる場合や、文献複写機器を用いた複製につい ては当分の間認められています(附則5条の2)。インターネットなどにより入手した著作物をダウン ロード、プリントアウトする場合は、私的使用のための複製となりますが、それらを個人のホームページ にアップロードする行為はこれにあたりません。 図書館等における複製(31条) 国立国会図書館、公立図書館、大学図書館など政令で定められたもので司書相当の職員が置かれている 施設(施行令1条の3)には自らが所蔵するものについて複製することができます。この図書館には企業 内図書館等は該当しません。図書館利用者による複製は、原則として、公表された全体のうちの一部分で なければならず(全体の半分以下でなければならない。)、一人の利用者について一部の複製に限られま す(31条1項)。代理で友人の分も一緒に複製してもらうことや、一冊の本を丸ごとコピーすることは 認められません。発行後相当の期間が経過した新聞、雑誌などの定期刊行物においては、その中に掲載さ れている個々の論文、写真等について全部の複製ができます。 引用(32条) 公表された著作物を自分の著作物の中に引用することは、「公正な慣行に合致するものであり、かつ、 報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内」であり、本文中の引用個所が特定できる形であ り、出所を明示すれば(48条)、著作権者の許諾を必要としません。引用は、両方の著作物が明確に区 別できるような方法で行わなければならず、原則として、原文のまま引用しなければなりません。正当な 引用であるかどうかは、個々の場合に、引用する側の著作物と引用される側の著作物における主従関係 (質・量)、目的等を総合的に判断して決められます。官公PR資料・報告書を新聞、雑誌などの刊行物 に説明の材料として掲載(「転載」)することは、明示に禁止されていない限り許されます(32条2 項)。なお、引用の出所明示の仕方には一定の形式があります(たとえば、本章末の参考文献の表示を参 照。)。 教育機関における複製(35条) 非営利の学校その他の教育機関(大学を含む。)において先生が授業で使用する場合には、著作権者の 利益を不当に害しない範囲で、必要と認められる限度において、公表された著作物を無許諾・無償で複製 することができます。この教育機関には、塾や予備校、企業の研修施設は含まれません。翻訳、編曲、変 形、翻案による利用も認められます(43条)。しかし、授業用に書籍一冊を全部複製したり、もともと 教材として使用されることを目的に出版されたドリルや教育用ソフトなどを生徒数だけ複製するようなこ とは認められません。<ガイドラインUP> <日本複写権センター「複写に関するガイドライン(3次案)」(1993)では、複製は全体の10%以内 のページで合計20ページを超えない範囲、部数は直接授業を受ける生徒数プラス1で上限50部程度と しています。日本私立大学連盟『ネットワーク時代の学術情報支援』(開成出版、1995)189ページより。 > 3.具体例の例題−−ステージ・クリア型のマインスィーパー(スキップあり)。 正しいと思うものをクリックして下さい。 /第一面/第二面 /第三面/ ←タブのように / / / / ┏━━━━━┯━━━━━┯━━━━━┯━━━━━┓ ┃ │ │ │ ┃例題をクリックすると、 ┃ 〜できる │ 例題 │ 例題 │ 例題 ┃正誤と簡単な正解説明が ┃ │ │ │ ┃出てくる。 ┠─────┼─────┼─────┼─────┨不正解だと、爆弾爆発の絵?。 ┃ │ │ │ ┃各面正解するごとに、 ┃ 例題 │ 例題 │ 例題 │ 例題 ┃花火の画面とか? ┃ │ │ │ ┃ ┠─────┼─────┼─────┼─────┨ ┃ │ │ │ ┃ ┃ 例題 │ 例題 │ 例題 │ 例題 ┃ ┃ │ │ │ ┃ ┗━━━━━┷━━━━━┷━━━━━┷━━━━━┛ 第1面(正しいもの4/12) ・列車の時刻表やレストランのメニューは著作物ではない。○事実の羅列にすぎず、創作性がないため。 ・小学生が描いた絵には著作権はない。×個性が見て取れれば、小学生の絵も著名な画家の絵も同じく創 作物になる。 ・原稿用紙、書籍、譜面になっていないものは著作物ではない。×それらの有体物に固定する必要はな い。 ・草稿やスケッチは著作物である。○その完成度は著作物であることとは関係がない。 ・法令や裁判は著作物ではない。×著作物ではあるが、社会公共の利益のために、保護の対象とはなって いない。白書等は著作権の保護を受けるが、転載禁止の表示のない限り、説明の材料として新聞・雑誌等 に自由に転載できる。 ・公表されている漫画のキャラクターは自由に使ってよい。×保護対象である。 ・作者が死亡した作品に著作権はない。×著作権は、作者の存命中のみならずその死亡後50年間は存続 する。 ・著作者の死亡後も、著作者人格権は保護される。○60条、116条。 ・校正を行った者は著作者ではない。○補助者(校正作業者)、助言者、注文者は著作者ではない。 ・特許権同様に著作権も登録しなければならない。×著作権の発生は、創作と同時に発生するので、登録 などの手続は必要ない(17条2項)。 ・いわゆる古典を利用するには、現在所有している者の許諾が必要である。×所有権と著作権は異なる。 ・安く手に入れた海賊版プログラムを使ってもよい。×113条2項。 第2面(正しいもの5/12) ・自分のコンピュータで動くように、プログラムをデバグすることは許される。○著作権法第47条の2 ・一台用の市販プログラムを、複数のコンピュータにインストールすることができる。× ・コンピュータ・グラフィックスにも著作権がある。○ ・データベースの中の個々の著作物にも著作権がある。○ ・サーバにデータをアップロードしただけでは、著作権問題は生じない。×23条送信可能化権の対象。 ・データをアップロードしたサーバをネットにつなげると著作権問題が生じる。○23条送信可能化権の 対象。 ・インターネットから著作物をダウンロード、プリントアウトすることは私的使用として許される。○ ・自分のホームページに他人の著作物を掲載することは私的目的として許される。×インターネットは世 界中に開かれているので、これは私的使用のための複製に該当しない。 ・CDの音楽を自分のコンピュータに取り込み、インターネットのホームページにアップロードできる。 ×複製権、送信可能化権、公衆送信権という著作権侵害に加えて、実演家の録音権と送信可能化権、レ コード制作者の録音権や送信可能化権という著作隣接権侵害。 ・自分のホームページに他人のホームページのリンクを張ることは著作権を害する。×複製ではないの で、直ちに著作権違反とは言えない。相手が、リンクフリーと宣言しているか、許諾を要求しているか確 認したほうがよい。 ・自分のホームページに他人のホームページで使われている一つの画像のリンクを張っても問題はない。 ×同一性保持権を害する。 ・自分のホームページに他人のホームページをフレイミングできる。×複製権、翻案権侵害の可能性があ る。 第3面(正しいもの5/12) ・私的使用のためにコピーしたものを20人に配った。×多くても10人以内とされる。 ・社内会議の資料として図書をコピーすることは私的使用ではない。○。 ・ダビング業者にダビングを依頼するのは私的使用である。× ・コピー機を使った文献コピーは認められている。○著作権法附則5条の2。公衆の使用に供することを 目的として設置されている自動複製機器を用いての複製はできないが、文献複写機器を用いた複製は当分 の間認められている。 ・図書館で本を一冊丸ごとコピーすることができる。×複製は、全体のうちの一部分=全体の半分以下 を、一人一部できるに限られている(31条1項)。 ・大学の教科書用に他人の著作物を自由に利用することができる。×その旨の通知と補償金の支払いの 上、出所を明示して、高校以下の教科書や学校向けの放送番組には掲載することができる(33条)。 ・授業用に学校の先生が、他人の著作物を利用することができる。○35条。 ・授業用であれば、どのような本も丸ごとコピーできる。×教育目的であれ、書籍全部のコピーはできな いし、もともと教材用に出版されたドリルなどを生徒数だけコピーすることは認められない。 ・チャリティーショーでは、著作物を無断で上演できる。×38条営利を目的としない上演の要件を満た さない。 ・違法に制作された著作物の複製物を輸入することは違法ではない。×113条1項1号 ・著作物、実演、レコード、放送・有線放送のコピープロテクション回避装置・プログラムを製造し、譲 渡し、貸与し、輸入し、所持し、公衆の使用へ提供し、公衆送信し、送信可能化する行為は著作権法違反 である。○120条の2第1号。 ・商売としてコピープロテクションの解除を行うことは著作権法違反である。○120条の2第2号。 3.参考 関係機関 社団法人著作権情報センター、およびそのホームページ 文化庁 文部科学省 参考書籍 日本私立大学連盟『ネットワーク時代の学術情報支援』(開成出版、1995) 斉藤博『著作権法』(有斐閣、2000) 角田正芳・辰巳直彦『知的財産法』(有斐閣、2000) 千野直邦・尾中普子『著作権法の解説』(一橋出版、三訂版、2000)