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6-12 プロバイダ責任制限法
1.プロバイダ責任制限法とは

 インターネット上での誹謗中傷、個人情報の無断掲載、著作権侵害などについて、プロバイダや掲示板管理者の責任範囲、および権利を侵害する情報を発信した者の情報を開示請求できる権利を定めた法律です。ネット掲示板などで権利侵害が多発したため2002年から施行されています。
 正式名称を「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」といいます。

 この法律では、次の3点がポイントとなります。
  1. 掲示板などで、権利侵害があることを知っていたか知ることができた場合等でなければ、プロバイダや掲示板管理者は被害者に対して賠償責任を負わない。(第3条1項
  2. 掲示板などに権利を侵害する情報が掲載された場合、被害者はプロバイダや掲示板管理者に対して削除を要請するが、プロバイダや掲示板管理者が権利侵害があると判断するか、発信者に問い合わせてその不同意が7日を超えてもなかったとき、これらを削除したことについて、発信者(掲示板に掲載した者)からの損害賠償の責任を負わない。(第3条2項
  3. 被害者は、プロバイダや掲示板管理者に対して、権利を侵害する情報を発信した者の、情報の開示を請求できる。(第4条)

 以下に、この法律の第3条、第4条の原文を抜粋します。

(損害賠償責任の制限)
第三条 特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
-以下略-

2 特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
一 当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
-以下略-

(発信者情報の開示請求等)
第四条 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
-以下略-
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