"eラーニングコンテンツ"つまり、情報通信技術(ICT)を活用した学習において利用される学習の対象物、の評価は学習者の理解度の評価、授業改善へ繋がっていることは明らかなように思える。評価に関する手法は様々に提唱されてきているが、その最も標準的なモデルはKirkpatrickによる4段階評価法であろう[1]。Kirkpatrickモデルでは、評価、効果測定を 1.反応(Reaction)、2.学習(Learning)、3.行動(Behavior)、4.結果(Results)の段階分けを行い実施する。どのレベルの(までの)測定を行うかにより、学習活動(研修)の有効性を把握することができる。次の表はKirkpatrickモデルでの評価項目と、それらのデータを収集するための方法を示したものである。
4段階評価法:Kirkpatrickモデル(鈴木 (2006), 表6-2)
| レベル |
評価項目 |
データ収集ツール |
| 1.反応 |
参加者は教育に対してどのような反応を示したか? |
受講者アンケート |
| 2.学習 |
どのような知識とスキルが身についたか? |
事後テスト パフォーマンステスト |
| 3.行動 |
参加者はどのように知識とスキルを仕事に生かしたか? |
フォローアップ調査 上長アンケート |
| 4.結果 |
教育は組織と組織の目標にどのような効果をもたらしたか? |
効果測定チェックリスト ROI(Return On Investment)指標 |
企業内研修その他の分野においてKirkpatrickモデルを拡張したモデルも提案され実践されてきているが、特に、日本の高等教育機関でのコンテンツを用いた実践、評価に関する研究では、未だ、テストやアンケート等を利用した簡単な調査、分析(レベル1, 2)が多数を占めているように思われる[2]。コンテンツ開発の実際における形成的評価技法の有意性に関しては鈴木(1987)に詳細に述べられているのでそちらを参照されたい[3]。
コンテンツやコンテンツ開発自体に関する評価(品質評価)では、Rubric指標やチェックリストを用いた研究手法が多く採用されている。また、学習オブジェクトの質保証のために、MERLOT(The Multimedia Education Resource for Learning and Online Teaching)プロジェクトでは、発表論文のその他の分野での審査に多く用いられてきたピアレビュー(相互評価)の手法を採用されている[4]。
指定論文は、名古屋大学と熊本大学におけるコンテンツ評価に関する実践事例を紹介したものである。これらの文献の批評を行い、分かったことと疑問に思ったことをリストしなさい。疑問に思ったことについて調査を行い、その結果分かったことを報告しなさい。 「分かったこと」「疑問に思ったこと」「調査結果」の3つの見出しをつけること。また、調査結果の項には、考察や出典情報も含めること。