近年、肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病が増加傾向を示し、それに伴って医療費も増加している。厚生労働省はこの事態を打破するために、メタボリックシンドロームという概念を導入し、
- 40歳以上にメタボ健診(特定検診)の義務化
↓ - ハイリスク者(腹囲男性85cm、女性90cm以上で、高血糖、高血圧、高脂血症などの症状をあわせもつ)の早期発見
↓ - 食や運動などの行動変容による発症予防(特定保健指導)
↓ - 医療費削減
に、力を入れ始めた。
しかし、「人の行動を変えるのはほとんど不可能」と言われるほど、一度身についた、とくに食や運動といった行動を変える(以下行動変容)、そして継続することはむずかしい。例えば、メタボリックシンドロームのハイリスク者に対して、数年後に起こるかもしれない失明や透析などの合併症を分かりやすく伝えても響かない。行動変容を促すためには、自分ごととして捉えてもらうことが重要である。また継続に関しても、無理強いや気合いでは続かない。海外の研究では5年で9割以上がリバウンドしたとの報告もあり、続ける「仕組み」の設計も重要になってくる。このように、新しい行動が習慣として根付くまでには手間暇、時間がかかる。その一方で、密な対面指導は有用であるが、人手やコストの問題が残る。
そこで筆者はeラーニング学習管理システム(LMS:Learning
management system)を活用して、行動変容および継続の支援に取り組み始めた。