ここでは、コミュニティを、「特定の非営利目的のために自然発生的に構築される人的ネットワーク」と定義する。明示的には強制力が存在しないのに自主的に集まってくる人たち、という意味である。
皆さんがこれから頻繁に成果発表の場として参加するであろう学術的な学会も典型的なコミュニティだといえる。そこにあるのは、対価を払っての情報・知識のやり取りではなく、調査・研究によって得られた知見を同じ問題意識を持つ人々と共有し、議論を経ることでさらに価値や質を高めていこうとする好奇心・コミュニケーション欲求である。
OSS(オープンソースソフトウェア)の開発プロジェクトとして機能する組織もまた、コミュニティである。世の中ではさまざまなOSSが開発され、完成度の高いシステムとなる場合もあれば、途中で開発が行き詰まり消滅する場合もある。その開発の成否はコミュニティがうまく動くことにかかっている。コミュニティが活発・持続的に活動するには、いくつかの条件があると言われている。Moodleは、その開発・ユーザコミュニティの形成が成功し、きわめて活発に動いてるOSSの一つである。
指定論文を読んで、コミュニティが形成されるために重要と考えられることは何かを考えて見よう。
また、Moodleの公式サイトhttp://moodle.orgのMoodle in Englishでは、絶えずコミュニティ内での活発なやり取りが掲載されており、研究テーマや新たな教育用システムを考える上で宝の宝庫である。フォーラムと呼ばれるディスカッションのスレッドをどれか一つ、二つ見てみて、得られたアイデアがもしあれば、あるいは、自分ならどのように議論に加わるかなどについても意見があれば、それらも述べよ。
指定論文
- Martin Dougiamas and Peter C. Taylor
"Moodle: Using Learning Communities to Create an Open Source Course Management System"
http://research.moodle.net/mod/data/view.php?d=1&rid=105 - 実際のコミュニティでのやり取りの例
Moodle in English