本節の目的
ネットワークの基本構成とネットワークに必要なアドレスについて学習します。
ネットワークの基本構成
現在、コンピュータネットワークではイーサネット(Ethernet)と呼ばれる規格が最もよく使われています。ADSLやケーブルテレビネットワーク、FTTH(家庭への光ケーブル接続)等でインターネットに接続されている皆さんの自宅のPCも、それらのネットワークの接続装置まではイーサネットで接続されています。
LANはルータを介して、他のLANやインターネットに接続されています。
一般家庭用のルータは小さなものですが、ネットワーク同士をつなぐ高性能なルータは大型の装置で、たとえば熊本大学では全学のネットワークをつなぐのに下図のようなルータを使っています(これ一台で何千万円もします)。
IPアドレス:インターネットにおける電話番号
これは、自動車に例えて言うなら車両番号(例えば、熊本300 ね 12-34)のようなものです。車両番号は、厳密に管理されていますので、申請をして役所から配布してもらう必要があります。自分で勝手な番号を付けたら警察行きになってしまいますよね。
皆さんも、ネットワークにPC等を接続するときには、勝手なIPアドレスを付けないよう、十分気を付けて下さい。
IPアドレスの自動割り当て(DHCP)
皆さんも、IPアドレスを設定せずに(そんなアドレスを聞いたことなくても)自宅のPCがインターネットに接続できているのは、この仕組のおかげです。
IPの書式
一般に、二進数1桁のことを、1ビット(bit)と呼びます。そのため、32桁の二進数は、32ビットと呼ばれます。
また、二進数は一般に桁数が多くなるので、8桁 (8ビット)を一塊(ひとかたまり)に考えることがよくあります。この8桁の二進数 (8ビット)を1 バイト(Byte)と呼びます。ですから、32ビット (32桁の二進数)は、4バイトと呼びます。
例を下表に示します。「IPアドレス」と書いた列が、一般的な表記のIPアドレスを表わしています。全部で32桁 (32ビット)あるIPアドレスを、8桁 (8ビット、1バイト)ごとに区切って表現しています。
IPアドレス | 二進数表記 (1バイト単位区切り) | 十六進数表記 (1バイト単位区切り) |
---|---|---|
133.95.34.11 | 10000101 01011111 00100010 00001011 | 85 5F 22 0B |
133.95.34.254 | 10000101 01011111 00100010 11111110 | 85 5F 22 FE |
133.95.10.3 | 10000101 01011111 00001010 00000011 | 85 5F 0A 03 |
192.168.0.1 | 11000000 10101000 00000000 00000001 | C0 A8 00 01 |
0.0.0.0 | 00000000 00000000 00000000 00000000 | 00 00 00 00 |
255.255.255.255 | 11111111 11111111 11111111 11111111 | FF FF FF FF |
最後の2つ(0.0.0.0 と 255.255.255.255)のアドレスの二進数表記を見ると、8ビット(8桁の二進数)の表わす数が、十進では、0から255までであることも確認できますね。
32ビットのアドレスということは、232通り、すなわち約40億個の番号(アドレス)を付けることができるわけです。つまり、約40億台のコンピュータ(PC)をインターネットに接続できるということになります。
現在IPアドレスを32ビットであらわすIPv4(Internet Protocol Version 4)という通信方式が広く使われていますが、すでに多くのアドレスが使用されているため、新しいコンピュータに割り当てるアドレスが不足しています。アドレス不足を解決するために開発されたIPV6(Internet Protocol Version 6)と呼ばれる新しい通信方式では、IPアドレスを128ビットであらわします。128ビットのアドレスということは、2128 通り、すなわち約340澗(カン)の番号(アドレス)を付けることができるわけです。IPv6ではアドレスが不足することは事実上無いといえます。
ネットマスクとホストアドレス
前節で説明しましたように、インターネット上のコンピュータには、それぞれ世界に一つしかないIPアドレスを付ける必要がありますが、IPアドレスは、個々のPCにばらばらに付けられるのではなく、ネットワークごとにある共通部分をもって付けられます。これは、我々の住んでいる家の住所が、お隣同士では最後の番地以外は、同じであることと同様です。
つまり、ある限られたネットワークに番号(アドレス)を付けた (県名・市名・町名を付けたのと同じような事)後、PCごとに個々の番号(アドレス)を付ける(番地を付けるのと同じ)ことになります。ただし、これらすべてを32ビットで表わします。
ですから、32ビットのアドレスを、ネットワークの番号を表わす部分と、コンピュータの番号を表わす部分に分けて考える必要があります。通常、ネットワークの番号を表わす部分を「ネットワーク部」、個々のコンピュータを表わす部分を「ホスト部」と呼びます。
IPアドレスの前半(左側、二進数の上位桁)が、ネットワーク部であり、残りがホスト部と定義されています。そのため、ネットワーク部の長さ (ビット数(二進で表記したときの桁数)) を示すことで、ネットワーク部とホスト部を区別することができます。下図は、24ビット(桁)のネットワーク部をもつIPアドレスの例です。
24ビットのネットワーク部をもつIPアドレスの例
一般に、ネットワーク部の長さは、「/ネットワーク部のビット数」という形で、IPアドレスに続けて書きます。例えば、24ビットのネットワーク部を持つネットワーク上にある133.95.10.3というIPアドレスは、
133.95.10.3/24
と表記します。この場合、133.95.10の部分がネットワーク部であり、3の部分がホスト部となります。
一方、従来からネットワーク部を表わす別の方法として、「ネットマスク」があります。「ネットマスク」は、IPアドレスのネットワーク部を表わすビット(二進数の桁)をすべて「1」とし、ホスト部を表わすビット(二進数の桁)をすべて「0」としたものです。
例えば、24ビットのネットワーク部をもつネットワークを表わすネットマスクは、二進数表記では、先頭から24個「1」が並び、残り8個「0」が並んだもので、以下のようになります。
11111111.11111111.11111111.00000000
これを、通常は、以下のように十進で表わします。
255.255.255.0
前節の、IPアドレスの例でも示していますので確認して下さい。