OSS(オープンソースソフトウェア)と、販売されている商用ソフトウェア、どちらが研究の対象にふさわしいだろうか。
商用LMS(ラーニングマネジメントシステム)は、開発体制が強固・安定なため、機能もしっかり作りこまれ、バグや不具合も比較的少ないことが期待できるが、その反面、プログラムソースコードや内部仕様は公開されていないため、研究で思いついたアイデアを実現するためには、もともとのLMSの機能を用いるしかない。また、カスタマイズや他システムとの連携を実現するにも、開発元の会社に有償で委託するなどの必要がある。
対して、OSSのLMSは、バグや国際化(日本語化など)の不具合などが多い傾向があるが、ソースコードを自由に変更して、機能強化・改変ができ、教育工学的な見地から思いついたアイデアをいろいろと試すことができる利点がある。プログラミングスキルがあれば開発・カスタマイズにかかる費用も最小限に抑えることが可能である。
以下の指定論文では、OSSのLMSであるMoodleを利用したシステム構築について述べている。どのような点の価値が認められて、この論文は論文誌に採択されたとあなたは考えるだろうか。また、MoodleのようなOSSを研究で利用するとしたら、あなたならどのような研究を行いたいだろうか。
指定論文
- 伊藤 宏隆・舟橋 健司・中野 智文・内匠 逸・松尾 啓志・大貫 徹
「名古屋工業大学におけるMoodleの構築と運用」『メディア教育研究』 第4巻 第2号(2008)15 - 21
http://www.code.ouj.ac.jp/media/pdf4-2-8/No.8-04tokusyuu03.pdf