eラーニングの魅力の一つに、学習者に合った学習を可能にすることが挙げられます。従来型の一斉授業では、学習者個人の嗜好や経験、特性などに合わせた教育を提供することは、なかなか難しいことでした。
実際、eラーニングに、個別化した学習を組み込むためには、学習者のタイプを分け、タイプ毎に学習行動や方略の相違などを整理しなければなりません。学習者のタイプを分ける方法も様々ですが、今回は、「学習スタイル(Learning Style)」に注目していきたいと思います。
学習スタイルとは、学習の際に好んで用いる認知活動、学習活動の様式・方法と定義されます(辰野, 1986)。学習者は情報を、違う方法で受け取り処理しています。内省したり経験したり、論理的に解釈したり本能的に解釈したり、分析したり図式化したりしています。学習者が使う学習のスタイルと教授法が適合したときに、学習の効果が上がり促進すると言われています。
学習スタイルのモデルやそれに関連する質問紙は数多く発表されていますが、ここでは、Felder-Silvermanモデルを紹介します。Felder-Silvermanモデルは、Felder博士とSilverman博士が共同で作成したモデルで、当初、大学で工学や科学を学んでいる学習者やその指導者が使用するために開発されました。現在では他の分野でも応用されています。
本モデルの詳細な解説はFelder博士のHP(http://www4.ncsu.edu/unity/lockers/users/f/felder/public/RMF.html)を参照してください。
Felder-Silvermanモデルでは、学習スタイルを4分野から分類しています。そして、4分野はそれぞれ2つのタイプがあり、学習者がどちらのタイプをより好むのかの傾向でスタイルを特定しています。
STOP!
まずは、ご自身の学習スタイルをチェックしてみてください*質問に回答する時は、「熊大 氏名」と入力をお願いいたします。
http://yygg.jp/questionnaire/
どんな結果になりましたか?
以下に4分野の説明とそれぞれのタイプの学習促進法[1]を紹介します。
ただし、分類されたタイプは絶対的なものではなく、そういう傾向にあるということです。学習スタイルの研究はeラーニングのためだけの研究ではないので、従来型の授業でも活用することができます。学習者側に立てば、一斉授業で、自分が好まない教授法を使用されている場合、自習時には学び易く効果的な方法を選択することができます。
ご自身の学習と比べて、いかがでしたか。「その通りかも」と思える個所と、「そうでもないかも」と思える個所があったかも知れません。
教育効果を最大にするために、学習者の個人差を取り入れた学習環境および学びを提供するための研究として、次の資料を読み、学習スタイルおよび学習者特性を考慮した教育について考えてみてください。