学習支援のための技術開発研究の分野では、以下の2つの研究アプローチがあると渡辺・柏原らは参考文献[1]において述べています。
情報通信技術を活用した学習支援による実践・評価に関する研究
1) ICTの応用による要素技術およびシステム開発(応用を重視した研究)
2) 学習・教育における現象をモデル化し、求められる学習・教育支援技術をデザインして、その実現にICTを導入する研究(モデル重視の研究)
(参考文献[1]より引用)
さて、今回皆さんに考えていただきたいことは、システムの効果をどのように表現するかです。どんなに立派に設計し構築されたシステムであっても、その効果を示さなければなりません。研究開発したシステムを実践に投入し、その効果について評価することで、その効果を証明することができるのです。研究論文では、その効果を表現する方法として、量的研究法あるいは質的研究法が利用されます。それぞれに利点と欠点があります。指定論文には、その利点と欠点について簡易的に記述されていて、その融合の可能性についてかかれている点も特徴です。参考文献[2]は、量的研究法と質的研究法についてパラダイムの視点からの違いが述べられています。また,量的研究による方法と質的研究による方法は相容れないものであるという立場の文献です。参考文献[3]は、論文になりにくいと言われる「情報システムのプロトタイプ開発」を論文にする研究手法について検討した文献です。
指定論文に目を通し、量的研究法または質的研究法について分かったことと疑問に思ったことをリストしなさい。疑問に思ったことについて調査を行い、その結果分かったことを報告しなさい。「分かったこと」「疑問に思ったこと」「調査結果」の3つの見出しをつけること。また、調査結果の項には、考察や出典情報も含めること。
指定論文とはしていますが、参考文献[2]、または[3]を指定論文の代わりにしていただいても構いません。
指定論文
[1]
平山 満義,「授業研究における量的手法と質的手法の統合」,東京農工大学人間と社会 11巻, pp. 91-105, (2000)
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004672415
参考文献
[1]
渡辺 健次,柏原 昭博,情報通信技術の系譜に基づく学習・教育支援のための技術開発研究の概観,日本教育工学会論文誌 34巻 3号, pp. 143-152, (2010).
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007988925
[2]
久保田 賢一,質的研究の評価基準に関する一考察 : パラダイム論からみた研究評価の視点,日本教育工学雑誌 21巻 3号, pp. 163-173, (1997).
http://ci.nii.ac.jp/naid/110003026306
[3]
金田 重郎,システムダイナミクスを併用した情報システムプロトタイプ評価法の検討 : 応用システムをジャーナル論文に投稿することを目指して(教育・研究システム),情報処理学会研究報告. 情報システムと社会環境研究報告,52巻, pp. 7-14,(2008).
http://ci.nii.ac.jp/naid/110006830040