人材育成担当者のための「キャリア・デザインに関する5つのQ&A」
Q1 トランジションサイクルモデルにおける3つの前提について簡潔に記述してください
A1
①再帰性・・・一周回って終わりというわけではなく、再び第一段階に戻って次のサイクルがまた始まること。一周するたびに発達しているかどうか、自分らしく生きられるようになっているかがカギとなる
②独自のステップをなす・・・モデルの各段階はそれぞれに他とは違った特徴をもっている。サイクル内四つの段階は経験としては重複してシームレスにつながっているが、概念は区別できる。段階ごとに顕著な心理過程も違いがある
③時間軸に沿った各段階間の相互依存性・・・4つのサイクルの前の段階をいかに過ごしたが次の段階のくぐり方に大きく影響を与える。4つのサイクルは互いに依存しあう関係にある
Q2 新人のトランジションサイクルを支えるために、新人が就職する際の組織の留意点はなにか
A2 就職活動する者に対して、組織の実情を曖昧にせず伝えること、個を尊重すること。就職前に聞かされていたことと、就職してからの現実に乖離があれば、新人のトランジションサイクルの立ち上がりは端から苦しくからである。個人が自己決定できる信頼ある情報を真摯に提供することが望まれる。
Q3 個人のニーズと組織のニーズがマッチングされたキャリアとなるために、人事担当は何ができるかを考えてください
A3 個人のトランジションサイクルの段階と個人の意思の把握、及び、組織の戦略を把握し、摘座適所となる配置換えや、メンタ―の活用による個人への支援を行う
Q4 新人の適応には、グループのメンバーとしての人間関係への目配りが大切ともいわれ、それには最初の上司との関係が重要である。このことに対し、人事担当者が配慮及び実行する理想的な事項は何か
A4 新人にプラスの影響のある管理職人材をプールし新人を配属する。また、新人がうまく適応することを支援し、管理職にとってもプラスの評価につながる仕組みをもつこと
Q5 働く人のためのキャリア・デザインp259に示されている「もうひとつのキャリア・トランジションモデル」を見てください。「1キャリアに方向感覚をもつ」について、あなた自身が今後働いていくための思いを記述してください
A5 (自身のキャリア・デザインを、夢や希望をもって表現できれば良い。)
<Q&Aに関する補足説明>
人材育成担当者もまた、キャリア・デザインをもって働くことが望まれると考え、OJTを経て自身のキャリア・デザインについて考えを持つことができるよう、Q5を取り入れた。これは、OJT後に記述を求めるイメージである。(人事育成部門に配属された新人としてのキャリア・デザインを明確にすることで、理論や組織で働く人の理解につながると考えた)。
その他のQについては、働く人への支援や、働く人の発達課題やトランジションについて理解が深まることを目的としている。