学習支援環境に関する開発研究

「学習支援環境に関する開発研究」というと大変広い分野を含むと思われるので、ここでは「学習支援環境」を、情報コミュニケーション技術(ICT)を用いた場合に絞ることとする。それでも、環境の開発ということは、システム、アプリケーション等のソフトウェアからデバイス等のハードウェアまで含み、LMS、eポートフォリオ、リッチクライアント、モバイル、バーチャルリアリティ、シミュレーション、電子ノート・黒板、遠隔協調システム、授業自動アーカイブシステム.....と、ソフト、ハード、その組み合わせと、「学習支援環境に活用できるもの」は多岐に渡り、ベースになる技術も千差万別である。

今回題材として取り上げる指定論文[1]は、携帯電話の爆発的普及等から大変注目されている「ユビキタス」[2,3]と、eラーニングの拡大・定着に伴い、コンテンツの流通と再利用に大変重要となるコンテンツの標準化技術「SCORM」[4-8]の2つを含む新しい論文を採用することとした。著者は日本のSCORM第一人者と言って過言の無い仲林先生らで、電子情報通信学会誌に掲載された原著論文で学術的価値の高いものである。

本論文では、PCと携帯の双方から、教材や学習履歴の共有と学習者適応型学習が可能な学習環境の開発について示しており、SCORM2004を用いてLMS上に両方での学習履歴が集約されるといったもので、SCORMを用いていることからLMSも特定のものである必要は無く、標準規格であるSCORM2004に対応していればよい。(まだ、多くのLMSがSCORM2004に対応したわけではないが、これは時間の問題であろう)

モバイルラーニングに関しても、デバイスから、分散協調学習、教材配信等まで広い視野で考えられているが、特にSCORMに関しては著者の第一人者としての造詣の深さから全てを理解しながら読みこなすには、深い基礎知識を有していない限り4~5時間程度の標準学習時間内には終了しないと思われるため、もちろん妨げはしないが、参考文献を深くあたるより、この論文全体として、論文としての構造、新規性や重要性はどこにあるかを重点におき、読み進んででいただきたい。

タスクのディスカッションにあるように、この回の学習を通じて、分かったことと疑問に思ったことをリストした上で、疑問に思ったことについて調査を行い、その結果分かったことを、「分かったこと」「疑問に思ったこと」「調査結果」の3つの見出しをつけ、ディスカッションへ書き込むこと。 また、調査結果は、先に示したように学術雑誌を深く参照していく必要はないが、WebのURLも含め、出典情報も含め、その上で考察すること。

指定論文

[1]
仲林清, 細川真伸, 川上太一, 佐藤一夫, 永岡慶三,
「SCORM 2004 を拡張したモバイルラーニング環境の設計と実装」,
電子情報通信学会論文誌D, J91-D(2), pp.143-151 (2008)
(本論文は郵送いたしましたが、電子情報通信学会会員で情報・システム(D)ソサイエティ所属の方は、オンラインジャーナル で、PDFダウンロード可。)

参考文献

[2]
Omnipresence @ Wikipedia (Redirected from Ubiquitous) http://en.wikipedia.org/wiki/Ubiquitous

[3]
ユビキタス @ ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%93%E3%82%AD%E3%82%BF%E3%82%B9

[4]
仲林 清, 清水康敬, 山田恒夫, 「eLearning標準化技術の開発と実践の新しい展開 —SCORMとLOMを中心に—」, 人工知能学会誌, 20(1), pp. 92-98 (2006)
CiNiiのオンラインジャーナル(本文引用文献番号[12]のもの。熊大のVPN経由であればダウンロード可能。)

[5]
SCORM @ 日本イーラーニングコンソシアム ※リンク切れ

[6]
SCORM @ Advanced Distributed Learning (ADL) Initiative ※リンク切れ

[7]
SCORM @ Wikipedia http://en.wikipedia.org/wiki/SCORM

[8]
Advanced Distributed Learning (ADL) Initiative @ Wikipedia http://en.wikipedia.org/wiki/Advanced_Distributed_Learning

最終更新日時: 2020年 11月 6日(金曜日) 10:51