学習の内容と進め方

 前ページで述べた学習のねらいを踏まえた上で、課題図書(1)・(2)を読み進め、以下の1)・2)を行ってください。

 なお、課題図書(1)は、ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された「知識創造論」に関する論文です。もちろん、「知識創造論」自体についての理解を深めるには、今回挙げた関連文献をじっくりと読み進めるべきだと思います。しかしながら、教授システム学専攻修士課程のねらいを踏まえ、「知識創造論」が提唱する“暗黙知”と“形式知”という概念が人材育成に提起する問題について考察を深める方向で、学習を進めるべきと判断しました。

 そこで、課題図書(2)として、D. ショーン『専門家の知恵:反省的実践家は行為しながら考える』をアサインすることにしました。先に述べたように、暗黙知の重要性に関する議論は、経営実務における形式知の意義や役割に関する議論と表裏一体の関係にあります。本書の著者であるD.ショーンは、専門家育成におけるアカデミックな知識(形式知)の意義に対して、重大な問題提起を行っています。ある意味、実践的活動におけるアカデミックな知識(形式知)の意義を否定しているようにも感じられます。もちろん、アカデミックに体系立てられた知識の有効性についてほとんど触れていない『専門家の知恵:反省的実務家は行為しながら考える』に対しては、反対意見も多く存在します。従って、受講者の方々が「D. ショーンには賛同できない」という意見をもつこともあると思います。あくまでも今回のねらいは、D. ショーンの議論をたたき台として、今日の専門家教育のあり方について考察を進め、この問題に対する“自分なりの見解”を整理することにあります。

1) 人材育成にとっての「知識創造論」の意味を理解する 学習内容 A・B に対応

 まず、課題図書(1)を通読し、「知識創造論」の概要を把握してください。特に、「知識創造論」における暗黙知の意味や位置づけを明らかにすることを意識してください。さらに、「知識創造論」の中心にある“暗黙知”と“形式知”という概念が、人材育成という活動に提起する問題について考察してください。

2) 専門家教育におけるアカデミックな知識の意義について考える 学習内容 C・D に対応

 以上を踏まえ、課題図書(2)※(1.「技術的合理性」から「行為の中の省察」へ pp19-128)を精読し、D. ショーンの提唱する「技術的合理性」と「行為の中の省察」という概念の理解を深めてください。

 さらに、D. ショーンの議論をたたき台として、今日の専門家教育のあり方について考察を進め、この問題に対する“自分なりの見解”を整理してください。これが【タスク6】になります。

 なお、【タスク6】の進め方についての詳細は、次の章を参照してください。

最終更新日時: 2021年 06月 11日(金曜日) 15:52